Q 私は司法書士ですが、私がご相談を受けている相続の案件で、相続人の一部の方が認知症を患われており、遺産分割の話し合いができず困っているというものがあります。被相続人は遺言を遺しておりません。
このような場合、どのように相続手続きを進めていくのがよいでしょうか。
A 弁護士による回答:今回の相続のご相談は、「相続人」に関するものです。
遺産分割協議を行う必要がありますが、相続人の一部の方に、認知症を患われている方がいる場合、その方を交えて合意を行うことは難しいというケースがよく見受けられます。このようなケースは、高齢社会が進むにつれて、今後もより増加するものと思われます。
遺産分割協議は、相続人全員が参加、合意を行うことが必要であり、相続人の一部を除いた合意は無効とされる可能性が高いものです。
もっとも、認知症を患われている方の場合、自らの財産上の権利を守ることが難しいことが少なくありません。
そこで、このような場合、家庭裁判所へその方の財産を守るため、成年後見人の申立てを行い、同成年後見人に、遺産分割協議へ参加してもらう方法が考えられます。
成年後見人は、専門家(弁護士等)またはご親族がなることが多いですが、ご親族の場合には、利益相反の問題が生じる可能性がございますので、注意が必要です。
弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所(千葉)
弁護士大隅愛友(おおすみよしとも)