【記事解説】「『遺留分』を封じる一言」(週刊現代)

週刊誌「家族にも,親戚にもいいたいことははっきり言うべきだった」......遺留分を完全に封じることは困難です。

「´21年春,作家の佐藤愛子さん(97歳)が発表した『断筆宣言』は世間を驚かせた。(中略)

 無理をして他人の期待に応えようとせず,言いたいことは,はっきり言わせてもらう。それもまた,後悔のない人生を送るために必要な姿勢だ。
 とりわけ大事なのは,おカネについて,はっきり家族に意見を言っておくことだ。子どもたちは,「自分が遺産をもらえる」と思い込んでいるかもしれない。この認識の食い違いは非常に危険だ。

 山梨県在住の山口千恵子さん(75歳・仮名)は語る。『夫は簡単な遺言書を書いていてくれていたので,遺産は妻である私が全て貰えるものだと思っていました。ところが突然,長男の嫁が口をはさんできたのです』(中略)

 だがどんなに文句を言ったところで,長男には遺産をもらう権利がある。最低限の相続分として「遺留分を請求できる」。(中略)

 こうした事態に陥らないための対策の基本は,子どもと相続割合について,あらかじめ話をしておくことだ。」

(引用ここまで)

遺留分を渡したくない,またはできる限り少なく支払いたい場合の対策について書かれた記事です。

相続の専門弁護士として,遺言作成のご相談の際にこのような内容の質問を受けることがあります。

(主な理由)
・夫婦の一方が亡くなり残された配偶者が将来の生活を案じて他の相続人への遺留分を減らしたい
・感情的な面から遺留分を渡したくない
・多額の生前贈与(特別受益)を受けているため遺留分を渡したくない

もっとも,記事にあるように,遺留分は法律上認められている最低限の取得分のため,その実現はなかなか困難といえます。

法律で定められている遺留分は以下の内容です。

遺留分,遺留分減殺請求-弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所.png

実務上は,①遺言,②生前贈与,③生命保険の活用等を組み合わせることで,相当程度,遺留分額を減らすことが可能です。

① 遺言作成
遺産を一部の相続人(団体)へ相続させる内容のものを作成
(遺言無効とならないように,公正証書を利用。弁護士,医師の関与。遺言執行者の選定も忘れずに)

   公正証書遺言.png


② 生前贈与
遺留分の対象となる遺産を減らす。なお,相続人への贈与は遺留分算定の際の基礎となるため,相続人以外(相続人の配偶者や孫等)への贈与が必要です。また,金額によっては贈与税がかかる場合がありますので,ある程度長期間にわたって実行できることが望ましいです。

③ 生命保険
生命保険金は,遺留分の対象となる遺産ではないため,まとまった金額の生命保険を活用することで遺留分額を減らすことができます。
(生命保険は相続税の非課税枠の利用あり)

なお,子どもと相続割合についてあらかじめ話をしておくことがよいかは,十分な検討が必要です。
話をすることで,反発を生み,親子間でギクシャクしてしまう要因となる可能性があること,子ども同士の間でも親に自分に有利な遺言を書かせる誘因となってしまうことが少なからずあるからです。

亡くなるまで話はせず,遺言の「付言事項」の中で説明を行う等の選択肢もあります。

弁護士や税理士等の専門家は守秘義務があります。
まずは弁護士等へ相談した上で,必要な範囲で子どもたち等の関係者へ伝えることが良いでしょう。

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