Q 私の父は、現在、家庭裁判所で選任いただいた成年被後見人の方に財産の管理をしていただいておりますが、父は昔から遺言を作っておきたいと言っていました。成年後見人が就任している状態でも遺言を作成することはできるのでしょうか。
A 成年被後見人でも遺言が出来る場合があります。
遺言能力の有無と成年後見の要件は一致していないため、成年後見人が選任されている方が、遺言能力があると認められる状況で遺言を作成した場合には、その遺言は、有効なものです。
もっとも、成年後見人は、自らの財産管理、その判断が出来ない状態にあるとの医師の診断書及び家庭裁判所の判断を受けている状態ですので、有効と認められるための要件は、通常の方と比べて非常に厳しいものがあります。
成年被後見人であっても時々判断能力が回復することもありますので、判断能力が回復し、遺言をするのに必要な意思能力があるときは、成年被後見人であっても医師2人以上の立会いのもとに遺言をすることができます。
医師の診断書を取得し、公正証書の利用などを行うことが後日の紛争防止、遺言者の意思の確認・尊重の為には必須になると思われます。成年被後見人による遺言書の作成は、上記のように難しい問題を含むため、専門家である弁護士による関与を受けての作成されることをお勧めします。