Q 私たち夫婦は、結婚20年を迎えますが、子どもがおりません。もし私が亡くなった場合、私の財産は妻が全て相続することになりますか。私の両親は既に他界しており、兄弟として弟が1人います。
A 弁護士による回答:今回の相続のご相談は、遺言の有無によって変わります。遺言がある場合にはそれに従い、無い場合には、民法で定められた相続人(法定相続人)が取得します。
ご相談の件の場合、法定相続人として奥様と弟様が共同して相続人となるため、奥様に全ての財産を残す旨の遺言を作成している場合のみ、奥様がすべて相続することになります。
遺言がない場合、奥様と弟様で遺産分割協議を行う必要がありますので、ご希望に沿うためには、遺言の作成をご検討ください。
弁護士による相続回答:法定相続人には「優先順位」があります。具体的には次のとおりです。
1 妻と被相続人の子供(胎児も含む)
2 子供がいない場合は,被相続人の父母(または祖父母)
3 父母・祖父母が亡くなっている場合は,被相続人の兄弟姉妹
※同順位の相続人が複数いる場合には、人数に応じて按分されます。
ご相談のケースでは、遺言を準備されていない場合、奥様だけでなくご相談者様の弟様も相続人となり、法律上の相続分は上記のとおりになります。
そして遺言が残されていない場合には、相続人全員で「遺産分割協議」を行う必要があります。遺産分割協議においては、実印や印鑑登録証明書が必要となり、遺産目録を作成する必要があるなど手続きは大変煩雑といえます。
これに対して、配偶者に相続させる旨の遺言を準備しておいた場合には、遺言が法定相続に優先するため、上記のような心配や手続きは不要となります(なお、遺言作成の際は、遺留分へ配慮する必要があります)。
このように、ご夫婦のみの場合、自分になにかあったときは、自動的に全ての財産が配偶者(妻、夫)に相続されると考えておられている方が少なくありませんが、法律上はそのような仕組みになっていません。
ご夫婦のみの相続の場合は、遺言が最も効力を発揮する類型の一つです。転ばぬ先の杖として、ご夫婦で遺言をご準備されておくことをお勧めします。
弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所(千葉)
弁護士大隅愛友(おおすみよしとも)