相続FAQ

相続人(外国人の配偶者と相続)|弁護士による相続相談

Q 私は外国籍の夫と結婚して、2人の娘がいます。夫は帰化はしていません。仮に夫が亡くなった場合、夫の相続はどうなるのでしょうか。

A 弁護士による回答:今回の相続のご相談は、「相続人」の問題です。外国人のご主人様がお亡くなりになられた場合の相続関係に適用される法律は、日本の民法ではなく、当該外国の法律になります。

弁護士による相続解説:外国人の方の相続に関して主なポイントは以下のようなものがあります。
  ・
外国人の方の国籍
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相続財産は国内にある資産か、海外にある資産か。海外にある場合、どの国にあるか。
  ・
資産はどのような状態であるのか(預金・現金、有価証券、不動産)
  ・相続税は発生するのか

以上を踏まえ、まずは最も大事な、今回の相続にどの国の法律が適用されるかを検討することになります。

外国人であるご主人様がお亡くなりになられた場合、ご主人様に関係する日本の民法とソウゾク国の法律の適用関係が問題となります。これについては、「法の適用に関する通則法」が規定を設けており、それによれば「相続は、被相続人の本国法による」(同法36条)とされています。

つまり、ご主人様の相続に関しては、日本の民法ではなく、当該外国の相続に関する法律が適用されることになります。

この結果、日本の民法によれば、配偶者及びその子が相続人となるため、ご相談者の方及び娘様が相続することになりますが、当該外国の法律で配偶者らに相続権が無いとされているような場合には、ご相談者の方には、相続が認められない可能性がありえます。

よって、外国籍の方と結婚されている方は、その方の国の相続に関する規定をあらかじめ調べておくことをお勧めします。

なお、このような場合でも、「遺言」を残しておけば、(法の適用に関する通則法の適用は受けますが)相続できる可能性が高まるため、外国籍の方と結婚されている場合には、遺言の作成を検討しておくことが大切になります。

最近は外国人の方とご結婚される方が増えてきていますが、相続の準備の重要性についてはまだ十分に認知されておらず、相続開始後に大変な思いをされる方が少なくないようです。

外国籍の方の相続及び遺言の作成には、相続の専門家である弁護士のアドバイスを受けながら行うことをお勧めします。

弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所(千葉)
弁護士大隅愛友(おおすみよしとも)