相続FAQ

相続人(非嫡出子と相続)|弁護士による相続相談

 内縁関係にあったパートナー(夫)が亡くなりました。私と内縁の夫の間には5歳になる男の子がいます。夫には、法律上の妻とその間に生まれた長男がいます。私の息子は夫の財産を相続することができますか。

A 弁護士による回答:今回の相続のご相談は、「相続人」の問題です。相談者の方のご子息は非嫡出子として相続人にあたり、内縁の夫の方の財産を相続することができます。また、具体的な相続割合は4分の1となります。

弁護士による相続解説:ご相談のケースは、「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」の相続とよばれる問題です。

「非嫡出子」とは、法律上の婚姻関係のない男女から生まれた子のことをいいます。

非嫡出子もであるため、相続人となります。その具体的な相続分は、「遺言」の有無により変わります。遺言がある場合にはそれに従い、無い場合には、民法で定められた相続人(法定相続人)が以下のとおり取得します。

法定相続人間の優先順位及び具体的相続分は次のとおりです。

1 妻と被相続人の子ども(養子、胎児も含む)

妻 1/2    子ども   1/2
2 子供がいない場合は,被相続人の父母(または祖父母)

妻 2/3    父母    1/3
3 父母・祖父母が亡くなっている場合は,被相続人の兄弟姉妹

妻 3/4    兄弟姉妹  1/4
 ※同順位の相続人が複数いる場合には、人数に応じて按分。

<非嫡出子の差別規定の廃止。最判H25.9.5>
かつては、非嫡出子は、法律上の婚姻関係にない男女から生まれた子のため、嫡出子と比べ、法律上各種の区別がなされていました。

相続の場面においては、「民法」に次のような定めがなされていました(民法旧900条4号ただし書)。

   非嫡出子は、嫡出子の相続分の2分の1とする。

※このような嫡出子と非嫡出子との区別は、憲法14条法の下の平等)に違反する差別であり立法論として問題であるという意見もありますが、最高裁判所もその合憲性を認めていました。

上記の最高裁判決によって、民法旧900条4号ただし書の規定は違憲とされ、それをもとにした立法の手当てがなされました。

弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所(千葉)
弁護士大隅愛友(おおすみよしとも)