相続FAQ

相続人(外国籍を取得した方)|弁護士による相続相談

 

 私は外国籍の夫と結婚して、2人の娘がいます。夫は日本に帰化はしていません。仮に夫が亡くなった場合、夫の相続はどうなるのでしょうか。

 弁護士による回答:今回の相続のご相談は、「相続人」の問題です。相続人の確定は、相続の際、遺産分割や遺留分減殺等様々な場面で大きくかかわってくる重要な事項です。

弁護士による相続解説:相続人の確定は、弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所千葉事務所における相続のご相談において、多いご相談の一つです。

ご相談のケースでは、まず、どの国の法律が相続の場面で適用されるかが問題となります。

このように、対象となる人、物、場所等何らかの要素が外国に関連する民事事件を「渉外事件」といいます。

渉外事件については、「法の適用に関する通則法」に定めがあり、相続の準拠法は、同法26条により、被相続人の本国法によるとされています。

よって、本件では、お父様の本国法である日本の「民法」の定めが適用されます。よって、相談者の方も相続をすることが可能です。

それを前提として、次に、具体的な相続分を検討することになります。具体的な相続分は、「遺言」の有無が問題となります。

遺言がある場合にはそれに従い、無い場合には、民法(900条)で定められた相続人(法定相続人)が以下のとおり取得します。

法定相続人間の優先順位は次のとおりです。

1 妻と被相続人の子ども(養子、胎児も含む)            妻:1/2   子ども:1/2

2 子供がいない場合は,被相続人の父母(または祖父母)    妻:2/3   父母:1/3

3 父母・祖父母が亡くなっている場合は,被相続人の兄弟姉妹  妻:3/4   兄弟姉妹:1/4

 ※同順位の相続人が複数いる場合には、人数に応じて按分。

ご相談のケースでは、お母様と長男、次男、相談者が相続人となります。

あとは遺言の有無により、上記のように具体的な相続分が変わることになります。

遺言が無い場合の相続分は以下のとおりです。

   母 1/2   長男 1/6  次男 1/6  相談者 1/6

相続人に外国籍を取得した方がいる場合、準拠法、裁判管轄、その他相続財産についての特別の定めなどに留意する必要があり、思わぬ形で問題が生じることが少なくありません。

相続人の中に外国籍を取得された方がいる場合、相続の専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所(千葉)
弁護士大隅愛友(おおすみよしとも)