Q 先月亡くなった父が公正証書の遺言を残しており、兄へすべての財産を相続させるという内容でした。父の子どもは、私と兄だけで、母はすでに他界しています。私が相続できるものはあるのでしょうか。
A 弁護士による回答:今回の相続のご相談は、遺留分に関するものです。遺留分減殺請求を行うことによって、遺留分相当額の相続財産を取得することができます。
弁護士による相続解説:民法には、相続に関するものとして、「遺留分」という規定があります。遺留分とは、被相続人が生前の贈与または遺言によっても奪い得ない、相続人が相続すべき最低限の相続財産の割合を定めたものです。
遺留分の具体的な内容は、以下のとおりとなります。
1 直系尊属のみが相う続人である場合・・・被相続人の財産の3分の1
2 その他の場合・・・相続人が1人の場合、財産の2分の1です(民法1028条)。
※なお、被相続人の兄弟姉妹には、遺留分がありませんので、注意が必要です(この点は、「相続人」の範囲とは異なります)。
遺留分権者が複数いる場合は、各権利者の法定相続分に上記遺留分の割合を乗じた割合が、各相続人の遺留分となります(民法1044条)。
遺留分の具体的な金額を考えるにあたっては、相続財産の把握、評価が前提となります。この点、遺留分に関する相続問題がある場合、相続財産の把握に協力的ではない相続人がいて、相続財産の全体が見えない場合が多いといえます。
また、遺留分は期間制限(相続開始から1年等)がありますので、できる限り速やかに行動する必要があります。
遺留分に関する事柄は、遺言の有効性、相続人、相続財産の調査・評価(特に不動産の評価)など専門的な事柄を多く含みますので、相続の専門家である弁護士へ相談されることをお勧めします。
弁護士法人ベストロイヤーズ法律事務所(千葉)
弁護士大隅愛友(おおすみよしとも)