1 相続調査の種類

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相続に際しては、大きく4つの調査があります。

(1)相続人の範囲(相続人調査)

(2)相続財産の種類や価値(相続財産調査

(3)遺言の調査

(4)その他関係する調査(遺言能力、財産管理能力)

このページではこのうち、(2)相続財産調査を解説します。

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2 相続財産の調査の際によくある困りごと

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「相続財産の全体像を開示してもらえない」というお困り事は、遺産相続のお困り事では時々出てくる内容です。

もしくは、そもそも「相続財産はなかった」、引き出した預貯金は「葬儀費用で全部使ってしまった」(使途不明金)などと言われるケースも少なくありません。

もし、相続財産の全体像が開示してもらえないのであれば、遺産相続の話し合いも進みませんし、また勝手に預金の解約を進められてしまっても困ってしまいますので、まずは早急に財産調査をされることをお勧めします。

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3 相続財産調査の種類

相続財産調査としては、相続は、被相続人のプラスの財産(積極財産)のみならず、マイナスの財産(消極財産)も受け継ぐことになります。

そこで、プラスの財産のみならず、必ずマイナスの財産(借り入れ、保証債務など)についても調べて把握することが重要となります。

各相続財産ごとに必要書類の集め方については主に下記のようなものがあります。

また、相続税の課税対象になる財産(みなし相続財産)は、必ずしも法的な相続財産と一致しませんので注意が必要です。

3-1 相続財産(遺産)

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相続財産の種類 必要書類
土地及び建物 全部事項証明書、固定資産税評価証明書、賃貸借契約書
預貯金 預貯金通帳、銀行
貸金庫 貸金庫に関する契約書類
株式 証券会社の情報、確定申告書
自動車 車検証、自動車保険の証券
ゴルフ会員権 会員権の証書
動産(骨とう品など) 証明書等
貸金、売掛金 借用書など
生命保険 保険証券など

被相続人が会社を経営していた場合

被相続人が会社を経営していた場合、例えば株式会社の経営者であった場合、会社自体は直接相続財産にはなりません。株式会社は株式を所有している株主が所有者となっているからです。

しかし、被相続人が株式を所有している場合にはその株式は相続財産となります。

会社を経営していた場合は、プラスの財産とマイナスの財産が混然している場合もあり、相続手続をする上で非常に困難なケースが多いのが実情です。

また、相続人が把握していない事があり、思わぬトラブルに巻き込まれてしまうケースもありますので、被相続人が会社を経営していたという相続人の方は、法的手続きをとった方が良い場合もあります。一度当相談室にご相談ください。

3-2 負債

相続財産の種類 必要書類
借入金等の債務 金銭消費貸借契約書等の控え
裁判上の請求権 訴状、答弁書など裁判資料の控え

被相続人が連帯保証人となっていた場合

被相続人が友人の借金の連帯保証人になっていた場合はどのように判断すればよいのでしょうか。
この場合、相続開始時点で債務額がはっきりしている、または責任額が決められている場合には、マイナスの相続財産として確定し、相続方法の決定をしていきます。
ただし、相続開始時点ではご友人がしっかり返済しており、連帯保証人である被相続人の債務額が明確でない場合は注意が必要です。たとえご友人がしっかり返済していてたとしても、連帯保証人であるという事実は相続人が相続することになるので、内訳をしっかりと確認してましょう。

4 弁護士による相続財産の調査

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遺言書等ですでに財産目録が残されている場合には、財産がどこにどれくらい存在しているかの全貌が見えてきますが、なにも財産について残されていない場合には、まず財産調査を行って、どんな財産がどれほど残されているのかを把握しなければなりません。

財産によって、調査の方法は異なりますので、各項目に分けてご説明いたします。

4-1 不動産

固定資産税の納税通知書、または、名寄帳で調べます。

不動産所有者には、毎年4~6月に固定資産税の納税通知書と言うものが送られてきます。まずは、これを探してみましょう。ここには、不動産の面積や評価額が一覧になって載っているページがあります。

この納税通知書が見つからない場合には、市区町村役所で名寄帳の写しをもらいましょう。

ここには、所有者の土地や家屋などが詳細に記載されています。ただし、その市区町村内にある不動産に関する情報しか得ることができませんので、全国各地に不動産を持っている場合には、それぞれ請求しなくてはなりません。

4-2 現金・預貯金

現金に関しては、亡くなった方の自宅を探してみましょう。

預貯金の場合は、通帳があればそこから、カードや通帳が見当たらない場合には、金融機関で「残高証明書」というものを発行してもらいましょう。生前の預貯金引出、使途不明金をよく調査する必要があります。

4-3 借地権や貸借権

自宅に契約書がないか調べましょう。なければ、登記簿謄本を見ることによって調査できます。

4-4 生命保険

保険証書を探してみましょう。なければ、保険会社に直接問い合わせましょう。
財産は、プラスのものだけではありません。マイナスの財産についても見てみましょう。

4-5 借金

カード会社からの支払い請求書、税金未払いの督促状、抵当権に関しては、全部事項証明書の記載から探しましょう。

相続財産の種類
  1. 相続人であれば、戸籍謄本や名寄帳を取り寄せて、そこから被相続人の財産を調べることができます。
  2. 金融機関やその他の財産が分からない場合は、弁護士が対応可能です。
    ※不動産の調査など。
    ※生命保険など一部は個人での調査が難しいものもあります。
他の相続人が開示してくれない場合 我々弁護士が開示を請求することが出来ます。

4-6 相続財産の評価

遺産の評価について

  1. 遺産分割を合理的かつ適正にするために、全遺産(全相続財産)の価値を評価する必要があります。
    例えば、3人の兄弟が共同相続人の場合で、遺産が不動産と現金2000万円と上場株式1万株だとすると、不動産・現金・上場株式を各3分の1ずつ分割すればよいが、そうでない場合が多いので、財産評価が必要となります。
    1.不動産は、時価評価をします。不動産鑑定士に鑑定してもらうことが多いでしょうが、大手不動産会社2社以上に査定してもらい、当事者間の合意で決めても構いません。
    2.上場株式の評価は、証券取引所で公表される取引価格によります。
  2. 相続税における遺産の評価方法は、遺産分割の場合とは異なります。
    税法上の評価額はもちろん、民法上の遺産分割で問題となる評価額も、専門的な知識・判断が必要ですので、弁護士や税理士のアドバイスを受けるべきです。

借地権、借家権を有していた場合

これは「被相続人が土地を借りて建物を建てて住んでいた(借地権者)ような場合」のことをいいます。
借地権者としての地位を相続すると同時に、地代(借地の賃料)の支払い義務も相続します。

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